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呼吸困難

呼吸困難(息苦しさ)について

― 呼吸の異常は、早期の診察が重要です ―

◆ 呼吸困難とは?

呼吸困難とは、「息がしづらい」「空気が足りない感じがする」「深く吸えない」といった呼吸に対する強い不快感や努力感を意味します。

一時的な疲れやストレスでも起こりますが、重篤な呼吸器・循環器疾患の初期症状であることも多く、注意が必要です。

人によっては「胸が苦しい」「息を吸っても吸いきれない」「何となく息苦しい」という表現になることもあります。

◆ 呼吸困難の分類と原因

呼吸困難は原因によって大きく以下のように分類されます。

① 呼吸器疾患によるもの

● 気管支喘息

気道が慢性的に炎症を起こし、狭くなることで起こります。発作時には「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)が聞こえ、夜間や早朝、運動後に悪化する傾向があります。

● 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

主に喫煙が原因で肺がダメージを受け、呼吸機能が低下します。階段の昇り降りや軽い動作でも息切れを感じ、進行すると日常生活にも支障をきたします。

● 肺炎

細菌やウイルスによる感染で、肺が炎症を起こします。発熱、咳、黄色い痰、呼吸困難を伴います。高齢者では症状が乏しく、呼吸苦のみで発見されることもあります。

● 間質性肺炎

肺の組織が硬くなり、酸素の取り込みが障害される病気。進行性で慢性的に息苦しさが増すのが特徴です。

● 気胸

肺に穴が開いて空気が漏れ、肺がしぼむ状態です。突然の片側の胸の痛みと急な息苦しさを伴います。特に若い痩せ型の男性に多いですが、基礎疾患がある高齢者にも起こります。

② 循環器(心臓)疾患によるもの

● 心不全

心臓のポンプ機能が低下し、肺に血液や水分がうっ滞することで呼吸困難を引き起こします。横になると苦しくなり(起座呼吸)、夜間に突然息苦しくて目が覚めることもあります。

● 心筋梗塞・狭心症

胸の痛みとともに呼吸が苦しくなる場合、心臓の血管が詰まっている可能性があります。特に左胸の圧迫感、冷や汗、吐き気、意識がもうろうとするなどを伴う場合は緊急です。

● 不整脈

心拍が極端に速くなったり遅くなったりすると、全身に十分な血液が送られず、息切れやめまいを感じることがあります。

③ 血液・代謝性疾患によるもの

● 貧血

酸素を運ぶ赤血球が不足している状態。軽い動作でも息切れや疲労感を感じるようになります。動悸や顔色の悪さがヒントになります。

● 代謝性アシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシスや腎不全などで血液が酸性に傾くと、体が酸を排出しようとして深く速い呼吸(クスマウル呼吸)になります。

④ 神経・精神的要因

● 過換気症候群(過呼吸)

強いストレスや不安によって呼吸が浅く速くなり、手足のしびれ、めまい、胸の違和感などを引き起こします。特に若年女性に多く見られます。

● パニック障害

突然、息が詰まるような恐怖感や動悸とともに呼吸困難が出現し、数分〜十数分続きます。

⑤ その他の原因

•肺塞栓症(血のかたまりが肺の血管を塞ぐ)

•喉頭浮腫・アナフィラキシー(重度のアレルギー反応)

•重症の新型コロナウイルス感染症(呼吸困難が急速に進行)

◆ 重症度の見極め(緊急性のある症状)

次のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診、または救急要請が必要です:

•呼吸困難が急に始まった

•胸痛、冷や汗、吐き気、意識がぼんやりする

•呼吸のたびに肋骨の間がへこむような呼吸(努力呼吸)

•呼吸数が異常に速い/会話が困難になる

唇や顔色が青白い(チアノーゼ)

酸素飽和度(SpO₂)が90%以下

高熱を伴う呼吸困難

◆ 当院での対応

呼吸困難の原因を正確に判断するために、当院では以下の検査・処置を行います:

•聴診(呼吸音・心音の評価)

•血中酸素飽和度(SpO₂)測定

•胸部レントゲン検査

•心電図検査(心疾患の評価)

•血液検査(炎症反応、貧血、心筋マーカーなど)

•呼吸機能検査(スパイロメトリー)

•必要に応じて専門医への紹介

※救急搬送が必要と判断した場合は、速やかに対応いたします。

◆ まとめ

呼吸困難は、命にかかわる病気の前ぶれであることも少なくありません。

「少し息苦しいだけ」と思っても、早めに受診して原因を明らかにすることが大切です。

当院では、呼吸器内科・内科の観点から、適切な検査と診断・治療を行っております。

息苦しさを感じたら、どうぞご相談ください。

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