高尿酸血症
高尿酸血症について
― 痛風だけではない、血管にも関わる“尿酸”の問題 ―
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◆ 高尿酸血症とは?
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態(7.0mg/dL以上)のことを指します。
尿酸はプリン体という物質が体内で分解されることで作られ、通常は腎臓から尿として排出されます。
しかし、尿酸が過剰に作られる、またはうまく排泄できないことで、血液中にたまりやすくなります。
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◆ 尿酸値が高いとどうなる?
尿酸値が高くなると、血液中の尿酸が結晶化して関節にたまることがあり、**激しい痛みを伴う「痛風発作」**を引き起こします。
また、尿酸は腎臓や血管にも悪影響を及ぼすことが知られており、腎機能の低下や動脈硬化の進行にも関係しています。
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◆ 症状
•初期は無症状のことがほとんどです。
•尿酸値が高い状態が続くと、ある日突然、**足の親指の関節などが腫れて激しく痛む(痛風発作)**ことがあります。
•長期間放置すると、尿路結石や慢性腎臓病の原因になることもあります。
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◆ 原因
•プリン体の多い食品やアルコールの摂りすぎ
(例:ビール、内臓肉、魚卵、干物など)
•肥満・内臓脂肪型肥満
•運動不足
•脱水や水分不足(尿酸の排泄が減る)
•遺伝的体質(尿酸排泄が少ないタイプ)
•ストレスや過剰な筋肉トレーニングでも一時的に尿酸が上がることがあります。
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◆ 診断
血液検査で尿酸値を測定し、7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断されます。
また、腎機能や尿検査もあわせて確認し、合併症の有無を調べます。
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◆ 治療と予防
● 生活習慣の見直し(すべての方に共通)
•プリン体の多い食品やアルコールを控える
•水分をしっかり摂る(尿量を増やして尿酸を排出)
•適度な運動と体重管理
•野菜・海藻・きのこ類などを意識して摂取
•甘いジュースや果糖の多い飲料も控えることが大切です
● 薬物療法(必要な方に応じて)
生活習慣の改善だけで尿酸値が下がらない場合は、以下の薬が使われます:
•尿酸生成抑制薬(フェブキソスタット、アロプリノールなど)
•尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)
薬は急に始めると痛風発作を誘発することがあるため、医師の指導のもと慎重に開始します。
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◆ 高尿酸血症を放置すると…
痛風だけでなく、以下の病気を引き起こすことがあります:
•慢性腎臓病(腎機能の低下)
•尿路結石
•高血圧・動脈硬化
•メタボリックシンドロームの悪化
高尿酸血症は、「健康診断でひっかかっただけ」と軽く考えず、将来の病気を防ぐためにもしっかりと管理することが大切です。
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◆ まとめ
高尿酸血症は、初期には症状がなく見過ごされやすい病気ですが、放置すれば痛風や腎障害、血管疾患などの原因になることがあります。
生活習慣の改善と、必要に応じた薬物治療でコントロールが可能です。
当院では、定期的な血液検査と生活指導、薬物治療の管理まで一貫して対応しております。
尿酸値が高めと言われた方、健康診断で再検査になった方は、お気軽にご相談ください。