発熱
発熱について
― 体が異常と戦っているときに起こる、重要なサイン ―
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◆ 発熱とは何か?
発熱とは、体温が通常より高くなっている状態で、一般的には37.5℃以上を指します。
これは体が細菌やウイルスなどの異物と戦うために、免疫反応を活性化させているサインです。
体温が上がると、白血球や免疫細胞の働きが活発になり、病原体を排除しやすくなります。
つまり発熱は、体が自らを守るために起こす自然な反応です。
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◆ 正常な体温と発熱の分類
•平熱:36.0~37.0℃(個人差あり)
•微熱:37.0~37.9℃
•発熱:38.0℃以上
•高熱:39.0℃以上
•超高熱:40.0℃以上(まれで危険)
※平熱が高めの方もいれば、低めの方もいます。普段の体温を知っておくことが大切です。
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◆ 発熱の主な原因
1. ウイルス感染症
もっとも多い原因です。風邪、インフルエンザ、RSウイルス、新型コロナウイルス、アデノウイルスなどが含まれます。
のどの痛み、咳、鼻水、全身のだるさなどを伴うことが多く、数日で自然に回復することが一般的です。
2. 細菌感染症
扁桃炎、肺炎、中耳炎、膀胱炎、腎盂腎炎、皮膚感染など。
高熱が続いたり、局所に強い痛みや腫れを伴うことが多く、抗生物質が必要なケースが多く見られます。
3. ワクチン接種後の反応
インフルエンザや新型コロナなどのワクチン後に、一時的な発熱が起こることがあります。多くは1〜2日で自然におさまります。
4. 子どもに多い発熱性疾患
突発性発疹(乳児)、手足口病、ヘルパンギーナ、風疹、麻疹など。発熱とともに発疹が出ることが特徴的です。
5. 膠原病・自己免疫疾患
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患でも、原因不明の発熱が続くことがあります。
6. 腫瘍・悪性疾患
白血病や悪性リンパ腫などの血液がんでは、慢性的な発熱が出ることがあります。
7. 薬剤熱
薬に対する過敏反応で発熱することがあります。抗生物質や解熱剤そのものが原因となることもあります。
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◆ 発熱時に見られるその他の症状
•のどの痛み
•咳・鼻水・鼻づまり
•吐き気・下痢・腹痛
•関節痛・筋肉痛
•頭痛・寒気・ふるえ
•発疹・目の充血
•意識の低下・けいれん(小児や高齢者で注意)
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◆ 受診が必要なサイン(以下のいずれかに該当する場合)
•38.0℃以上の熱が3日以上続く
•解熱剤で熱が下がってもすぐに再上昇する
•ぐったりしている、反応が鈍い
•息苦しさ、咳がひどい、ゼーゼーしている
•強い頭痛、光をまぶしがる、嘔吐を伴う
•小さなお子様で水分が取れない、尿が出ない
•高齢者や基礎疾患(糖尿病、心臓病、がん等)がある方
•発熱に加えて発疹・けいれん・意識障害などがある場合
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◆ 当院での対応
当院では、発熱の背景にある疾患を見極めるため、以下の診療を行っています:
•詳しい問診・診察
•必要に応じた検査(血液・尿・インフルエンザや新型コロナの迅速検査など)
•胸部レントゲン、CRP(炎症反応)、白血球数の測定
•症状に応じた解熱剤や抗菌薬の処方
•必要に応じて高次医療機関への紹介
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◆ ご家庭での注意点
•無理に熱を下げすぎない(体がウイルスと戦っているため)
•水分・塩分補給が大切(経口補水液など)
•食欲がないときは無理せず、消化の良いものを
•解熱剤は医師の指示に従って使用しましょう
•高齢者は脱水に注意
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◆ まとめ
発熱は体からの重要なサインです。
「風邪だと思っていたら肺炎だった」「熱が続いていたら感染症や他の病気だった」ということもあります。
症状が強い、長引く、心配なときは我慢せずにご相談ください。
当院では、発熱の原因を見極め、安心して治療を受けられるようサポートいたします。