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咳喘息

咳喘息(せきぜんそく)とは

咳喘息は、慢性的な咳(8週間以上)が唯一の症状として現れる気道の慢性炎症性疾患です。一般的な気管支喘息と異なり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴や、明らかな呼吸困難は見られません。そのため、「風邪が長引いているだけ」と見過ごされやすいのが特徴です。

しかし、咳喘息は気管支喘息の前段階とも考えられており、適切な治療を行わないと3割程度が本格的な喘息へと移行することが報告されています。

症状の特徴

持続する乾いた咳(非湿性咳嗽)

•特に夜間や明け方に悪化

•会話中、運動後、冷気を吸い込んだときに誘発されやすい

•痰はほとんど出ないか、あっても少量

•発熱や喉の痛みといった風邪の症状は軽快していることが多い

発症の原因・誘因

咳喘息の発症には、**気道の過敏性亢進(気道が刺激に対して敏感になる状態)**が関与しています。以下のような要因が誘因となります。

ウイルス感染後(風邪をひいた後)

•花粉・ハウスダスト・ペットの毛などのアレルゲン

•喫煙・受動喫煙

•冷気・乾燥した空気

•運動・会話・ストレス

•胃食道逆流(逆流性食道炎が背景にある場合も)

鑑別診断

慢性咳嗽(8週間以上持続する咳)の原因は多岐にわたるため、咳喘息の診断には他疾患の除外が不可欠です。主な鑑別疾患には以下が含まれます。

•アトピー咳嗽

•後鼻漏症候群(副鼻腔炎などによる)

•逆流性食道炎(GERD)

•感染後咳嗽

•ACE阻害薬による薬剤性咳嗽

•肺結核や肺癌などの器質的疾患

検査・診断

咳喘息の診断には、以下の検査や評価を組み合わせて行います。

呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)検査

 → 気道の好酸球性炎症の指標となり、喘息との関連を評価

呼吸機能検査(スパイロメトリー)

 → 気道の閉塞がないかを確認

気道可逆性試験(β2刺激薬吸入後の改善度)

胸部レントゲン・CT(他院に紹介):他の疾患(肺炎・結核・腫瘍など)の除外

喀痰検査:細菌感染や好酸球の有無を評価

治療

咳喘息の治療は、気道の慢性炎症を抑えることが中心です。

1. 吸入ステロイド薬(ICS)

•最も効果があり、第一選択薬

•炎症を抑えて気道過敏性を改善

2. 吸入気管支拡張薬(LABAなど)

•ICSと併用して用いることが多い

3. 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬

•アレルギー性要因が疑われる場合に併用

4. 漢方薬

•状況に応じて小青竜湯、麦門冬湯などを使用することもあります

多くの場合、治療開始後1~2週間程度で咳が軽快しますが、再発予防のために1〜2か月の継続治療が推奨されます。

当院での対応

当クリニックでは、咳喘息をはじめとする慢性咳嗽の精密診断と治療を行っています。呼気NO検査や画像診断などを活用し、的確な診断と患者さま一人ひとりに合った治療をご提供します。

「風邪が治ったのに咳が止まらない」「夜間に咳が続いて眠れない」といった症状がある場合は、お早めにご相談ください。喘息への進行を防ぐためにも、早期診断と治療が重要です。

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